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みずうみ

今回 自身の初の個展となるタイトルは[みずうみ]。
いわゆるペンネームならぬ 作家名も[みずうみ]で行いたいということだ。
何故か? と問うと、なんでも“男性でもなく女性でもなく、
作品そのものに 性を感じさせたくないからだ”と答えた。
人にはそれぞれ性に対する一般的な既成概念を持っているはずだ。
名前から連想させる イメージというのは、少なからず大きなものであろう。
だが、この概念は絵や写真をみる時に 果たして必要なものだろうか?
- 作品自体には女も男もない - だとしたら、 むしろそれは邪魔な概念だと言える。
彼は、そんな表層的な概念を払拭したかった。
純粋に絵というものを鑑賞してもらいたい・・ 彼の切実な思いがこのタイトルには込められている。

では、なぜ[みずうみ]なのか。
1.まず、彼が唯一好きなカラーは、青であること。
2.そして[みずうみ]は[みず]と[うみ]という二つの異なる青が合わさった言葉であること。
3.[みず][うみ]という音からは、情景を連想させる印象が強いこと。

特に、3.が大きな要因を占めている。
想像(無形)は、創造(実体・カタチ)へと繋がる。
彼は、想像から創造へと変える作業を 心底楽しんでいる。
また、創造とは、<それまでなかったものを初めてつくり出すこと>を指す。
既存のものでは、駄目なのだ。
彼は、自身でハードルを課せては、それを幾度も飛び越えてきた。
創造する楽しさを、作品を通じて他者に感じてもらいたい。
それが、今展覧会の一番の目的である。

だが、これまで述べた事は、
あくまで現在(いま)の記録に過ぎない。
私が彼への質問を終えた後、彼が最後に言った一言。
『今までの白紙!』 思わず拍子抜けてしまったが、
よくよく考えてみると既存のモノを飛び越える “越境者”に定まった考えなど無いに等しく、
多分三日もすれば考えが変わっているのだろう。
完成はするが、完結ではない。

とても彼らしい一言に、彼の人生観を物語る – 生き様 – を感じた。

text : SKKY 角谷 慶

1975 大阪生まれ
1998 第102回 ザ・チョイス 入選
2001 第121回 ザ・チョイス 入選